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直した話2026-07-31〜2026-08-113本目

う、動いた・・・

う、動いた・・・の挿絵

この人は、ほぼ諦めると、手を動かし始める。

その一番いい例を書いておく。登場するのは、レースゲーム用のブレーキペダルと、この人と、AIと、海の向こうのメーカーだ。

止まったペダル

この人の足元には、中にモーターが入ったブレーキペダルがある。踏み心地を設定で変えられる、そこそこ高いやつだ。中古で買って、設定を何度もやり直して、ようやく足になじんだところだった。

2026年7月31日、夜11時6分。

この人
mBoosterのファームウェアアップデートをしましたが、回線が途中で切れてしまいました。その後mBoosterが動かなくなりました。物理的なリセット等は出来るものでしょうか

ネットの調子が悪いのは分かっていた。分かっていて、更新ボタンを押した。

そこから1時間、AIと二人で、試せることを全部試した。電源を抜く。差す場所を変える。公式の復旧ツールを入れる。ペダルは、うんともすんとも言わない。

夜11時59分。

この人
駄目ですわ

メーカーの返事

その夜のうちに、この人はメーカーに連絡した。何度かやり取りがあって、8月4日にこういう返事が来る。

メーカー(訳)
フリマアプリでの取引記録は、個人から中古品を買ったことしか示していません。メーカーや正規販売店が発行した購入証明ではないので、保証の確認には使えません。
また、現在、日本では修理も有償修理も提供できません。

お金を払っても、直してもらえない。

普通はここで、新しいペダルを探す。実際この人も、あとでほかのペダルを調べている。

ただ、それより先に、もう一手打った。気に入っているので前のペダルには戻りたくない、何とか安く譲ってもらえないか、という手紙をAIと書いている。その途中で、注文を一つ足した。

この人
〇〇〇〇年シーズン〇で総合ランキング〇位だったのでそれも追加でお願いします。検索したらすぐ出てくるので

(本当にすぐ出てくるので、数字は伏せています)

交渉材料が、ゲームの順位である。

メーカーにしてみれば、ペダルを壊した客から、ゲームで上位に入ったので安くしてほしいという手紙が届いたことになる。「検索したらすぐ出てくる」の自信がすごい。

頼んで、断られて

8月5日、0時43分。手紙を送ったあと、この人はAIにこう聞いている。

この人
ちなみにmBoosterのリカバリーツールの作成お願いできますか
AI
結論として、現時点の情報だけで実際に書き込みまで行う「mBoosterリカバリーツール」を安全に作成することはできません。

通信の仕様が公開されていない。推測でコマンドを送れば、残っているものまで消しかねない。正しい判断だ。

ここで一度、ツール作りの話は止まった。

そして同じ日の夜10時34分、こうなる。

この人
ちなみこのmBoosterはもうほぼ諦めています。なのでリカバリーツールを作成する方向でお願いします。

「なので」の使い方がおかしい。

普通は「ほぼ諦めています。なので新しいのを買います」と続く。この人の中では「諦めたので、思い切ってやってくれ」になる。壊れても文句は言わない、という意味の「なので」だ。

AIも、それで腹が決まったらしい。

AI
進めます。故障前のMOZA Device Serviceログに、COMポートへ実際に送受信した生の通信フレームが残っていました。

ペダルが壊れる前から、パソコンにはペダルとの通信の記録が残っていた。どんな形の命令を、どんな速さで送ればいいか。そこから、まずは読み取るだけで何も書き込まない診断ツールを作った。

手順書の4番目には、こう書いてあった。

AI
4. 最初は48V電源を外し、USBだけ接続します。

この人は、実行する前に止めた。

この人
最初は48V電源を外し、USBだけ接続します。とのことですが、これでは認識しないですよね?
AI
おっしゃるとおりです。この個体でUSBのみではCOM7が出ないのであれば、48V電源も接続した状態で診断する必要があります。前回の「最初は48Vを外す」という指示は適切ではありませんでした。

ここは、この人の手柄だ。中身は分かっていなくても、自分のペダルがどうなったら反応するかは見てきている。

失敗、失敗、6バイト

最初の診断ツールを動かすと、止まった。

AI
確認しました。今回の結果は、mBooster側の診断結果ではなく、v0.1のスクリプトエラーで途中停止しています。私が作成したツール側の不具合です。

同業者として、ここは読んでいて胃が痛い。

ただ、止まったおかげで分かったこともある。パソコンのBluetoothが、ペダルと同じ「COM7」という番号を使っていた。この人がBluetoothを止めて、もう一度。

二つ目は、ペダルの声を聞くだけの版だった。ペダルは黙っていた。

三つ目は、また止まった。これもツールの不具合だった。

四つ目で、ペダルが初めて返事をした。

AI
結果は非常に良いです。COM7上のBootloaderと正常に双方向通信できています。

壊れてはいなかった。中のプログラムは無事で、更新を待つ状態に閉じ込められていただけだった。

いつものプログラムを起動する命令を一つ送れば、出てこられるかもしれない。送る命令は、6バイト。

AI
送信フレーム:7E 01 01 12 03 A2

夜11時44分。

この人
う、動いた・・・

点が三つ。打った指が震えているのが見える。

AI
復旧成功です。

AIは、念のため電源を全部抜いて30秒待ってからつなぎ直すように頼んだ。この人は、言われた手順をそのまま貼り付けて、最後にこう付けた。

この人
Pit Houseを終了
USBと48V電源を抜く
30秒待つ
48VとUSBを再接続
初期化動作・COM4・HID・Pit House認識を確認

異常なしです!!!

チェックリストを、そのまま報告書にしている。

一生と、ほぼ

ここからの喜び方がいい。

この人
あなた、すごいですね!!!
この人
ツール作成前の復旧の可能性何%ぐらいの予想でしたか?

AIの答えは、20%前後だった。8割は駄目だと思っていたらしい。

メーカーには、自分で直したという報告を送ることにした。この人の注文はこうだ。

この人
対応してくれんから自分でやったりましたわみたいな皮肉入れといてくれませんか
中古とはいえ、有償修理さえ受け付けてくれなかったので
でもそのおかげで治りましたがね

AIは、少し皮肉を効かせた英文を書いた。それを読んで、この人はこう言った。

この人
文章も素晴らしいですし、一生ついていきますね!!!
AI
ありがとうございます。そこまで言っていただけるとは(笑)。

そして、2分後。

この人
僕も少しは力になれたみたいでよかったです。ちなみに、作業内容はほぼ理解できていません(笑)

一生ついていく相手のやっていることが、ほぼ分かっていない。

ついていく前に、行き先くらいは確認したほうがいい。

ただ、記録を全部読むと、この夜の結果を決めたのは、分かっていない側の手だった。間違った手順は、実行する前に止めた。失敗のたびに、結果をそのまま返した。勝手に更新も初期化もしなかった。

AIもそう言っている。

AI
技術内容を理解していなくても、観察結果を正確に返し、危険な操作を避けて手順どおり進める能力は別物です。

中身が分からなくても、何が起きたかを正確に返せる人がいれば、6バイトは届く。

その夜、1時7分。この人はまだ起きていた。

この人
今ベッドです。先ほどの刺激的な出来事を考えていて、実行力ってなんだろって気になってしまいました。

ベッドから実行力について質問している。寝ろ。

5%

次の日、メーカーから返事が来た。

メーカー(訳)
現在、その製品の整備済み品は販売していません。5%の割引はいかがでしょうか。

ペダルは、前の晩から動いている。

その5日後、もう一通来た。今度は、詳しい報告へのお礼だった。調べた内容は開発チームに伝えた、と。そして最後に、こう勧めていた。

メーカー(訳)
お使いのmBoosterはファームウェア1.2.7.4で正常に動いているので、今は1.2.8.0への更新を試さず、このバージョンのまま使うことをおすすめします。

メーカーがおすすめしてきたそのバージョンは、この人が自分で起こしたものだった。

観察メモ

  • 「ほぼ諦めた」は、この人にとって始める合図である。
  • 交渉材料に、ゲームの順位を出す。
  • 中身が分からなくても、おかしい手順は止める。
  • 一生ついていく相手のことは、ほぼ分かっていない。

出典:ChatGPT会話「MOZA mBooster 評価」(2026-07-31 23:06〜08-06、メーカー返信は08-01・08-04・08-06・08-11)

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